SUGAROCK-FESTIVAL

邦楽ロックをとことん楽しむためのきっかけに。フェスのようなブログを目指してます!

10-FEET「Fin」感想。見えない終わりに立ち向かった5年の軌跡

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「世界に別れを告げる日の朝、僕は誰を想うのだろう」

「君に別れを告げる日の朝、僕は何を言い残すのだろう」

「淋しさに火をくべ」という曲でTAKUMAさんがこう叫んで5年の月日。

ついに、その答えが完成した。

 

10-FEETの約5年ぶり8枚目のフルアルバム「Fin」、フラゲ日に手に入れてきました。

 

僕は5年前から10-FEETの存在を知っていたわけではありませんが、そういう人も沢山いるんじゃないかな。

 

他の目当てのバンドを観にフェスに行った時に、10-FEETのステージで熱狂が熱狂を生んでフロアに巻き込まれていった人もいるだろう。

 

他の大好きなバンドが京都大作戦を「憧れのフェス」と口にしていたのがきっかけだった人もいるかもしれない。

 

実際そうやってこの5年間、曲を出さずとも今まで以上に広く遠くそして深く影響を与えてきて、与えられた全ての人々にとっての待望の1枚。

 

1曲1曲詳しく書くのはとりあえず置いといて、まず一周聴いて、湧き出た感想だけを話させて欲しい。

 

感想

このアルバムでまず避けて通れないのは、やはり「Fin」というタイトル。

リリースが発表された時からこの意味深なタイトルに僕たちは期待よりも若干の不安を抱えてきたかもしれない。

 

このタイトルに込めた想いは既に音楽雑誌などでTAKUMAさんが語ってくれています。

 

一言でいうなら「これが最後のつもりで」ということ。これで全てを出し切るという気迫を込めた作品だってことですね。

 

実際の歌詞にもそういった意味合いが伝わってくる言葉があちらこちらに沢山散らばっていたし、

先立ってリリースされた3枚のシングル曲ともアルバムのテーマは強く結びついていることに気づかされました。

 

20年バンドを続けて、それなりの年齢も重ねてきた大人だからこそ説得力を持って伝えられるメッセージ。

実際「これが最後に言い残した言葉です。」と言われても納得してしまう深みを感じました。

 

そんな限界ギリギリで生み出された15曲。笑いにも涙にも、そして遊びにも全力のマジを注いだ15曲です。

 

曲調も様々、もちろん2ビートの速い曲だってあればゆっくりな曲もあるし、ピアノが入ったロックチューンもある。

 

ただ確実に言えるのはこれまでで1番「激しい」アルバムだということ。

 

それはただ単に曲のテンポとかライブで盛り上がるとかではなく、

「曲を聴いてどれだけ聴き手の感情が揺さぶられるか」の話。テンポがゆっくりでもめちゃくちゃ激しい。

 

「Fin」というタイトルに則って表現したかったのはきっとこの激しさなんじゃないかなと思いました。

 

 

そしてもう一つ、僕が「Fin」に気づかされたこと、

それは「結局終わりなんてものは見えない」ってことです。

 

もし「今日が人生最後の日」だという心構えで毎日生きていけたらきっと言葉も行動もハッキリと力強いものになると思うんです。

それを10-FEETは身をもって証明してくれたんですけど、それを続けられる人って実際どれだけいるんだろう。自分にはちょっと無理な話だな。

 

2曲目の表題曲「Fin」で歌っているように、

「探して探してもずっと辿り着かない様な」

ものなんだろうと感じました。

 

きっとTAKUMAさんもこの過程で1番もがいて苦しんだんだと思う。その姿を見てきたNAOKIさんもKOUICHさんもきっとそう。

そういった苦悩を経験して5年の月日の傷跡も曲にしっかりと刻まれている。

 

そこでタイトルのもう一つの語源が意味を成すんですね。

 

魚のヒレ、海に潜る時につける水かきを意味する「Fin」

深い海の底で見えない終わりに怯えて、息継ぎも出来ずにもがき苦しんでいる人に、進みたい方向進むべき方向へ泳ぐためのエンジンになって欲しい。

そのような想いも込められた作品であるはず。

 

こう捉えて、じゃあ僕はどうなんだと考えたらもがき苦しむどころか息継ぎばっかりしてるなと思ったので、そういう人にとってはまず深く潜るための推進力として。

 

是非ともイヤホンに耳を凝らして、歌詞カードに目を凝らしながら15曲聴いて頂きたいです。

 

youtu.be

 

最後の曲「何度も咲きました」の最後、TAKUMAさんの叫びが10-FEETを求めている全ての人々の期待や不安、明るい未来も現状のやるせなさも、全て言霊になって乗り移ってるように聴こえて部屋でひとり感極まってしまいました。