音楽コラム/オピニオン

CDは必要なくなっているが"モノ"としての音楽にはメリットがある

もう1週間前の話になりますが、RADWIMPSが映像作品を出しました。「Human Bloom」のツアー映像。
それと同発で同じ公演がライブアルバムとしてもリリースされたのですが、
通常のCDに加えて音源データをダウンロードする「ミュージックカード」という形式で商品化されたんですよね。
 


CDとは違って、実体の無い音源がネット配信ではなくパッケージされた商品としてリアルな店舗に並んだということがとても斬新で興味を持ちました。

CDという媒体自体にこだわる必要は無い

今回ミュージックカードを採用するに際して洋次郎さんはTwitter上で考えを発言していました。


僕も以前の記事でCDそのものに価値があるのかということを書いたのですが、洋次郎さんが発言するのとではまぁ影響力が10兆倍ぐらい違う。
やっぱりこれだけネットやスマホが普及した時代において、CDという媒体そのものにこだわる必要ってもう無いんじゃないかなーと思います。
カセットテープがCDに変わったように、CDもデジタルな媒体へと変わっていく。
スマホやPCの中により容量が増えたCDが内蔵されてるイメージですね。
あとはCDに音源データを記録してプレスするっていう工程が無くなる分コストも下がるんですよね。
今回のミュージックカードはCDよりも500円安く販売されています。
僕は音源を手に入れて聴くことでライブでの体験に繋がることが大きな目的なので、そこに至るまでのコストが下がるのはとてもありがたいです。
じゃあiTunesとか定額配信使えばいいじゃんって話じゃないですか。


でも、音源がデータ化されただけで、1つの音楽作品として実体をもってお店で販売することはとても重要だと思っています。

音楽作品が”モノ”として販売されるメリット

CDでもミュージックカードでも同じなんですけど、音源「だけ」が売られるのであればそれはネットで事足りると思うんですよ。
ジャケットや歌詞カード等、目に見える”モノ”があるからこそリアルな実体をもってお店に並んでいます。
ジャケットにはアートワークが描かれていますよね。それは楽曲からインスピレーションされた絵画作品です。
これがもしアートワークも曲と同じでネットでダウンロードすることになったらそれは何だか味気ないような、、、
つまりは音楽が他のアート作品に波及することで音楽は”モノ”として形を持つことが出来るんです。その波及の余地はまだまだ未開拓な部分が沢山あると思います。
例えば、BIGMAMAは小説家の住野よるさんとコラボしてCDと一緒に短編小説を収録してシングルをリリースしました。
音楽を中心に他の分野を巻き込んで1つの芸術作品としてパッケージ化する動きが活発になったら面白いですよね。
まぁあとはライブ等で実用的なグッズを一緒にしたり、今回のようにジャケットだけでも全然。今のシステムと変わらずにCDがカードに代わるだけでも良いと思います。
そしてもう1つ、個人的に音楽が”モノ”としてお店で販売される意外と大きなメリットがあるとするなら、それは「フラゲ出来る」ということです。
レコードショップにとっては発売日と入荷日(=フラゲ日)の概念があるからこそ、毎週のように何百何千という単位で新譜を仕入れて販売することが出来ます。
そして僕らは通常よりも早いタイミングで音源を手にして聴くことが出来る。iTunesではフラゲ出来ませんからね。
逆を言うなら、フラゲする必要が無かったり、音源に付随するもののメリットが享受出来ないのであれば、ネットで音源をダウンロードする。あるいは定額配信で聴くという選択肢を取った方が今の時代は断然良いです。
事実僕もSpotifyやLINE MUSICにはお世話になりっぱなしですからね(笑)

まとめ

以上これまで書いたことをまとめると、
リアルな店舗で販売される音楽作品も、ネットでダウンロードするデータとしての音楽もそれぞれにメリットがあってまだまだ共存していくべきだということ。
その中でCDという媒体自体にこだわる必要はあまり無いということです。
レーベル会社にとってもメーカーにとってもCDとミュージックカードを両方とも販売することはリスクが大きいのは百も承知ですが、”モノ”としての音楽の新たな可能性の扉を少しずつ開いていって欲しいですね。
そしてこういった可能性にバンドマンが進んで取り組んでいるのが素晴らしいです。
僕はこれからも今回のように自分の意見を交えて少しでも取り組みの後押しが出来たらなと思います。