音楽コラム/オピニオン

"ギャラクシーホームランツアー"から考える。ロックバンドがホールツアーを行う意味

Sugar(@Sugarrrrrrrock)です。
今回はロックバンドがライブハウスではなくホールでライブをすることの意味について書いてみました。
ちょうどこの記事を書いた翌日からMy Hair is Badが3枚目のフルアルバム「mothers」を提げた全国ホールツアー
「ギャラクシーホームランツアー」 2/9からいよいよ全国ツアーが本格スタートします。
地元新潟上越の新ホールのこけら落とし公演から空くこと2か月。
いよいよ銀河系クラスのロックショーが全国で火ぶたを落とす。
なんと言っても今回のツアーはホールツアー。
会場の雰囲気もライブハウスとは全く異なる。ライブハウスと違って座席がある。
まぁそれ自体に特別感があるわけではありません。
多くのロックバンドがホールツアーを行ってきたかと思いますが、これまで完全現場主義でライブハウスで汗と火花を散らしてきた彼らがどうしてライブハウスから次のステージへと歩を進めることになったのか。
今ツアーに際して寄せられたフロントマン椎木さんの言葉から、ロックバンドがライブハウスを抜け出してホールツアーを行うことの意味を解釈してみました。

集中することで、
目撃することで、
黙読することで、
My Hair is Badにもきっと没頭出来る
 
熱量や技量、
楽曲や詩世界、
My Hair is Badにはまだまだ可能性がある
 
映画のスクリーンから物語が飛び出す
絵画の中の恋人達が急に話し出す
小説の余韻が町中に散らばる
あの感覚をMy Hair is Badでもきっと味わえるはず
 
新潟県上越市出身 現場育ち
身体に触れず 心に触れるまで
もっと強くなる為の修行
ずっとやってみたかったこと
新たな挑戦をぜひ観に来てください
 
My Hair is Bad公式HPより

ロックバンドがホールツアーを行う意味

ステージに集中、没頭出来る

ホールには座席があるため、ライブハウスと違ってお客さん全員が観る場所を定められています。
そしてホールには段があるため、ライブハウスと違ってお客さん全員がステージを見渡すことが出来ます。
つまり、ライブハウスでは必ずしも保証されない「お客さん全員が同じ条件で公平にライブ観ることが出来る」環境が整っているということ。
周りに干渉することなく、1対1でステージと観客が繋がる。
改めてこう書いてみるととても魅力的な空間に思えます。
ステージに一点集中できれば、今まで好きだった曲にさらに没頭出来る。
1対1だからこそ伝わる熱量。ステージが見えるからこそ魅せられる技。表情から一層伝わる曲の世界観。
椎木さんの言う通り画面から飛び出た映画を観る感覚かもしれないですね。

身体ではなく心で熱狂を表現する

「身体に触れず 心に触れる」
なんて素晴らしい響き。この言葉の体現者こそ正真正銘のロックバンドだと思います。
聴く人観る人の心に直接訴えかけて、それぞれの内側から熱い感情が込み上げる。こんな現象を「ロック」という言葉で表現したい。
座席があり観る場所が定められている状況では、当然楽しみ方もライブハウスの時と比べると制限がかかります。
だから観る側も身体ではなく心で熱狂を表現するしかないと思います。
ただサビになったら手を上げてみたり跳んでみるだけじゃあライブハウスよりも味気ない。
身体で表現しようとせず、心で感じて、胸の奥底から響いた熱狂を出し切りたいですよね。
心で熱狂を表現したら、突き上げた腕の先が手のひらではなくて拳になっているかもしれない。楽しい笑顔が感動の涙になるかもしれない。
人をロックな感情人間にさせるのは椅子ありのホールの方かもしれませんね。

バンドがもっと強くなる

ライブハウスを抜け出してホールやアリーナでライブをする理由。
ただ単に観に来るお客さんの数が増えるから。だからバンドが成長した。強くなった。
もちろんそれは間違いないけど、シンプルにキャパが大きくなるっていう事自体は結果的なものに過ぎないと思いました。
でもマイヘアの場合はライブの現場であることには変わらない、けど心に触れるために、バンドを強くするためにホールを選んだという意志が伝わってきました。
この場合はホールを選ぶ事が目的になっている。だから本当の意味で挑戦なんだと思います。
バンドが強くなるための修行。僕たち側も同じ目線でともに進んで行きたいですよね。
心に触れようとするロックバンドに対して、こちらも心と心でぶつかり合えたら良いですね。
一緒に心の熱狂を追い求めましょう。
まぁここまで書いておいて僕は武道館のアリーナスタンディングなんですけどね(笑)