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[CDレビュー] THE ORAL CIGARETTES 「UNOFFICIAL」

Sugar(Sugarrrrrrrock)です。今日は1月31日、2017年も1/12が終わってしまいます。
今月はたくさんCDレビュー出来ればと思っていたんですけど思った以上に余裕が(金銭的な)無かったので3枚の紹介にとどまってしまいました。
そして今日は火曜日。つまり新作CDの店着日です。
ということで今週もタワレコに足を運んできました。そして今回はしっかりゲットしてきました。
今回紹介するのは今月何度も取り上げたこのバンド!
THE ORAL CIGARETTESの3枚目のフルアルバム「UNOFFICIAL」です。
昨年の同時期にリリースした2ndアルバムがヒットに飛躍の1年につなげたオーラル。
一方でフロントマンの拓也さんは一時期曲が書けなくなったそうで、見えないところでは苦難も経験した2016年。
そんな苦難をも力に変えて次のステージへの成長を予感させるのが今作。
リリースの発表があった時からずっと期待して待ち続けていましたが、期待以上の作品に仕上がっています。
という訳でこれから全10曲しっかりレビューしていきます!

感想とレビュー

まず、アルバムタイトルの「UNOFFICIAL」にどんな意味が込められているのか、
ステージ上や各種インタビューなど色々な場面で語ってくれていますが、
僕は「公的」に対する「私的」 という捉え方が1番しっくりきました。
流行りとか大衆的なモノに流されるんじゃなくて、自分の中の考えや感情を大切にして欲しいというのが大まかなメッセージではないでしょうか。

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そんなアルバムのメッセージをはっきり示したのが1曲目の「リコリス」
リコリスは彼岸花のこと。そしてその花言葉は「死人」です。
自分の感情に正直に、つまり自分らしく生きていかないと死んだも同然ということを伝えたいのだと思います。
オーラルらしいダークな部分もありつつ、サビを中心に開放的なバンドサウンドが特徴。
UNOFFICIALな世界の幕開けに相応しいリードトラックです。
2曲目はシングルのカップリングでライブでもお馴染み「CATCH ME」
「誰にも止められない、OFFICIALから抜け出したこのオレを捕まえてみろ。」
と言わんばかりに、アルバムの世界観に即して聴くとまた違ったイメージを感じましたね。

悪戯ショータイム

悪戯ショータイム

  • THE ORAL CIGARETTES
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

続く3曲目「悪戯ショータイム」は今までのオーラルの良さを踏襲している、ギターリフがとてもキャッチーなナンバー。
歌詞の主人公がとても捻くれていてこれもまたオーラルらしいなと感じました。
間違いなくライブ映えする曲です。

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そして4曲目が最新シングルの「5150」
改めてこの曲名の意味を説明すると、50-50のイーブンの状態が1つだけ崩れていることから海外では精神異常者のことを指すコードネームとして使われている言葉です。
これを作曲当時フロントマンとして苦悩を抱えていた拓也さん自身に当てはめ、もがき苦しみながらも未来を切り「拓く」歌として作りあげたのがシングルとしてリリースされた時の印象。
アルバムという作品の中の1曲として聴いてみると、
先ほど説明したバランスが崩れた5150という状態は正しくUNOFFICIALだし、歌もオーラルのこれからの道筋をしっかり示した曲だということを改めて感じました。
5曲目「WARWARWAR」はバンドの新たな一面を覗かせるミドルテンポのナンバー。
曲名はその名の通り争いを意味しているそうで、歌詞も戦争を連想させるワードが盛り込まれています。
ただそんなスケールの大きいことを歌ってるのではなく、特定の人に対する感情を争いの時に湧き起こる感情に置き換えて表現しています。そういう意味では深いことを歌ってますね。
中盤にあってアルバムにとって良いスパイスとなっている曲だと思います。

エンドロール

エンドロール

  • THE ORAL CIGARETTES
  • ロック
  • ¥250
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ここからアルバムは折り返しに入ります。6曲目の「エンドロール」は世界観がとてもキレイな曲です。
この曲は拓也さんがお祖父さんとの別れを経験したことが元になっているそうで、
何かが終わるということはそれが永遠のものになるということ、区切りのタイミングで過去の出来事がエンドロールのように流れるということを歌っています。
僕個人的には、「何かが上手くいったり報われた時に、過去にあった辛かったことも良い思い出としてフラッシュバックする。」こんなイメージを感じました。
歌のメッセージ性はとても強い、けど解釈の幅が広くてリスナーに委ねているような曲が今作は多いですね。

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7曲目はシングル曲「DIP-BAP」
思えばこの曲がライブで披露されて、リリースされた頃から僕の中で今のオーラルのバンドイメージが構成された気がします。
それゆえこの曲が出来たからこそUNOFFICIALという意味を持った作品が出来たとも言えると思います。
ライブを経て育てられて、今ではライブでも盛り上がるキラーチューンとして機能している曲、改めて歌の内容にも注目して欲しいですね。
8曲目「Shala La」は高速ビートのイントロから始まり曲名の通りなんだかディープでロマンな雰囲気を感じる曲調。
歌に出てくる女性像がとてもセンチメンタルな部分を覗かせていてそれが美しい世界観を表現しています。
少しの遊び心を感じさせるような曲名が多いのはオーラルの1つの特徴ですよね。今作も曲名だけで魅力を感じさせてくれます。

不透明な雪化粧

不透明な雪化粧

  • THE ORAL CIGARETTES
  • ロック
  • ¥250
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9曲目「不透明な雪化粧」はこの時期にぴったりの冬のラブソング。
1stアルバムに「透明な雨宿り」という曲がありましたが、なんとなくそれを連想させなくもないバラードです。
ここまで限りなくクリアな内面の部分を歌ってきたこのアルバムですが、この曲は恋愛や人間関係を含めた外部の不透明さを歌っています。
この曲の終盤から一気にアルバムのクライマックスへと引き込まれていきます。
非常にスケールの広いバラード、武道館でストリングス隊と演奏するのが見えましたね(笑)

LOVE

LOVE

  • THE ORAL CIGARETTES
  • ロック
  • ¥250
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そして最後の10曲目「LOVE」
なんてどストレートな曲名。「不透明な雪化粧」からの流れを汲んでアルバムを締めくくるに相応しい超名曲が誕生してしまいました。
曲中で何度も繰り返される「一人で笑うことは出来ない」という歌詞にこの曲のメッセージが詰まっています。
「一人で笑うことは出来ない」
「一人だけじゃ意味を持たない」
だからこそ仲間を求めて、そこから愛が生まれる。
そのためには自分に正直に、限りなく透明な自分を見せること。
楽しいこと、嬉しいことはもちろん、辛いこと、悲しいこと、ムカつくこともいつか報われて愛として昇華出来るという励ましのメッセージにも聴こえてきました。
この「LOVE」でアルバムが締めくくられることで、「私的=UNOFFICIAL」に込められた想いはしっかり身を結びました。

リスナー自身が曲を解釈して、各々のUNOFFICIALを見つけて欲しい

この前のライブで拓也さんが話していましたが、1stと2ndはロックシーンというものから多くの要素をインプットし、シーンの中で目立つ存在となるために「外から内」にファンを取り込むためのアルバムでした。
今作は逆に「内から外」に発信していくアルバムだと説明しています。
シーンである程度の存在感を放てるようになったという自信の現れとも言えるでしょう。
ロックシーンという枠からさらに大きな存在となるべく、次のステージを目指すという点では本当に素晴らしいアルバムです。
だから正直なところ視覚的にワーっと盛り上がるような曲、フェスでウケそうな曲は全くと言っていいほどないです。
ただ今作はフロントマン、音楽家、表現者としての拓也さんのパワーアップした部分、そんな拓也さんに引き上げられたシゲさん、あきらさん、まさやんの成長も見て取れるアルバムだと思います。
「なんかオーラルも変わっちゃったなー」と言う人も出てくるとは思いますが、バンドとしてはそれはそれで良いと思っていることでしょう。
しっかり聴けばより一層オーラルが好きになるはず、これからもついて行こうと思えるはず。
僕はこのアルバムによってライブや様々な場面で共に笑い合える仲間が増えて、いろんな「LOVE」に溢れた未来を見せてくれると多大な期待をしています。
そのためにはまずツアーファイナルの武道館にどうにか立ち会うことが出来ますように。。。

youtu.be
THE ORAL CIGARETTES 「UNOFFICIAL」
1. リコリス
2. CATCH ME
3. 悪戯ショータイム
4. 5150
5. WARWARWAR
6. エンドロール
7. DIP-BAP
8. Shala La
9. 不透明な雪化粧
10. LOVE
個人的オススメ曲: 3 4 6 7 10

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