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[ALEXANDROS] “Sleepless in Japan Tour”を横浜アリーナで観た

3/13に[ALEXANDROS]の”Sleepless in Japan Tour”を観に横浜アリーナへ行ってきました。

最新アルバム「Sleepless in Brooklyn」を提げて昨年から行われている「Sleepless in Japan Tour」のアリーナツアー3本目。

 

ほんの少し演奏曲についても触れましたが、セットリストのネタバレはしていないので是非最後まで読んでいって下さい。

ライブレポート

これまで日本武道館、幕張メッセ、そしてマリンスタジアムと節目節目で大きな会場でのワンマンライブを重ね、自分もその姿を観てきたが、横浜アリーナで[ALEXANDROS]を観るのは初めて。

ただ、この規模でライブを行うのはバンドにとってもファンにとっても当たり前といった感じがするし、今回の「Sleepless in Brooklyn」の楽曲は横アリぐらいの規模感が1番映えるだろうと心待ちにしていた。

 

アリーナの扉を開けると、今作の制作拠点だったNYを思わせるステージセットが視界に飛び込み、開演前SEの背後では向こうの環境音が聴こえてきた。ライブが始まる前から「Sleepless〜」の世界観に引き込こむつもりなのだろう。

そして会場が暗転してからはオープニングからエンディングまで、まるで長編映画を観ているかのようなロックンロールショーだった。

 

アリーナ会場のライブは慣れたもので、演出もステージングもライブ運びに関しては文句のつけようがない。

とある曲でフロアに投げ込まれた巨大バルーンを蹴飛ばしながら花道で歌う洋平さんは、スクリーンの中のアメコミのヒーローのように映った。

 

また、[ALEXANDROS]のワンマンライブには曲間の沈黙がほとんど無い。まさに”Sleepless” 一時も休む間を与えない。だけど終始心地良い音楽体験に誘ってくれる。

UKロックをルーツに持つ彼らが昨年アメリカで生活し、新たな文脈で世界の音楽と接続していく中で生まれた「Sleepless in Brooklyn」というアルバム。

特に6曲目の「PARTY IS OVER」から10曲目「FISH TACOS PARTY」までの流れは圧巻で、邦楽離れしたビートの心地良さも、海外のバンドだって今時鳴らさないヘヴィなギターリフも、実際に向こうの家に住み、メシを食って、アートに触れてという経験を骨身に染み込ませたからこそ誕生したのだと思う。

 

こういうアルバムをライブ仕様に再構築してセットリストを組むのはとても大変だと思うが「Sleepless〜」のスタイリッシュでクールな曲達はライブハウスツアーを経て、自ら意思を持ったかのように、音源以上にうねりを起こして凶暴に進化していた。

アリーナでも地に足ついたバンドサウンドを響かせたのも、ライブハウスツアーで培った経験の賜物だろう。

 

「Sleepless〜」にはそこまで速いテンポの曲は収録されていないし、激しくモッシュしたり、わかりやすく盛り上がるような曲も無い。

そんな中で「MILK」で凄まじい縦揺れが起こったのは、他の日本のバンドには真似出来ないと思う。ああいうテンポの曲を”暴れる”ゾーンに組み込んだことに今のバンドの姿勢が見て取れたし、ノリについて行くオーディエンスも「Sleepless〜」の曲を熟知しているようだった。

 

一方でアルバム曲以外の選曲もただ単に”定番曲を並べましたよ”というような安易なことはせず、昔の曲を「Sleepless~」仕様に進化させている。個人的に「Sleepless〜」の雰囲気に合いそうだなと思っていた曲もこの日のセットリストには入っていた。

シングル曲ながらアルバムではボーナストラック的扱いになっていた「SNOW SOUND」はこのアリーナツアーでは重要な位置で鳴らされていくように感じたし、5年以上も前の曲がライブの度に新しいアレンジでアップデートされていくのには毎回衝撃を受けてしまう。

自分も含め、これまでも音楽に散々躍らされて、励まされて、泣かされてきた人達にとっても、新たな体験と感動を与えたのではないだろうか。演奏するアーティストの意思を汲んで姿かたち、意味合いを変化させていく曲もまるで”生き物”なんだと思わされたライブでもあった。

 

 

また、この日は洋平さん、まーくん、サトヤスさんの3人の地元神奈川でのライブでもあり、「地元横浜に華を咲かせましょう!」と意気込む洋平さんに対して、唯一愛知出身のヒロさんが「いやいや相模原だろ!」とツッコむシーンが何度か繰り広げられた。

 

「いきものがかりが海老名にいて、SHISHAMOが川崎にいて、サザンとSuchmosが湘南にいるとなると、残されているのは相模原しかないんで(笑)、いつか相模原でフェスやりたいと思います!」

とアンコールで話していたのはどこまで本気で信じていいのか分からないけど、NY仕込みのアルバムを提げた”普段着な[ALEXANDROS]”のMCを多く聞けたのは横浜アリーナでのライブだったからこそだと思う。

洋平さんがステージで1人になった時のMCも1人でボケとツッコミを繰り返して漫談みたいで面白かった。

 

「最近知ってくれた人に”こんな曲もありまっせ!”みたいな感じで昔の曲をライブで知ってもらって”ええやん!”って思って貰えたらいいな」

と話していたように、アルバムの最新曲と”こんなカッコ良い曲もあるぞ”とアルバムと親和性の高い曲で構成された今回のツアー。

“Japan Tour”と銘打っていることに意味深さを感じるが、個人的には今の[ALEXANDROS]ならこの規模感でワールドツアーだって回れるんじゃないかと思ってしまった。

 

日本のロックバンドというアイデンティティと向き合いながら世界に照準を当て続ける[ALEXANDROS]の最新型にして最高の状態のロックンロールショーをもっと多くの人に体験して欲しい。

 

 

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Sleepless in Yokohama – Spotify

 

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