Sugar(@Sugarrrrrrrock)です。
来たる10月10日に04 Limited Sazabysのニューアルバム「SOIL」が遂に発売されるということで、これまでのバンドのこと、音楽誌のインタビュー等を読み漁って思ったことを書きに来ました。
前作「eureka」から約2年ぶり、3枚目のフルアルバム。そしてバンド結成10周年の年に完成した作品。
「SOIL」というタイトルには”土壌”という意味があります。
人気も実力も身につけて3枚目って、多くのバンドが方向性やモチベーションの壁にぶつかる難しい局面だと思います。
ただこのアルバムは置きにいってもいないし、奇をてらうわけでもないし、背伸びをしようともしていない。
僕は入荷日にフラゲして何周か聴いたんですけど、
「フォーリミまた大きくなったな」というよりは「フォーリミまた強くなったな」って感じでした。
もちろん新しいこともやってるけど、タイトルの通り地に足ついた等身大のロックバンドが詰まっています。
この記事は新曲の具体的な部分には触れず、「SOIL」がどんな作品なのか、
04 Limited Sazabysがいかにしてこの1枚にたどり着いたかに興味を持って頂きたいと思って書きました。
「eureka」から「SOIL」までの2年間
当然ですけど「SOIL」にたどり着くには「eureka」からのバンドのストーリーが必要不可欠なので、まずはフォーリミのこの2年間のことを。
前作の「eureka」には”発見”という意味があって、
希望の光を見つけてそこに向かって一緒の船に乗り込むような作品でした。
というのも「eureka」は日本武道館でのライブを控えていた中でのアルバムだったから。
バンドが主人公で仲間を大きいステージと希望の光に連れていく、ロックシーンを駆け上がってた当時の状況に最高にマッチした作品でした。
ただ、そんな名盤をフロントマンのGENさんが
「”eureka”の時は正しくあろうとしすぎた。今となってはらしくない部分もあった。」
と語っていたのが2年経った現在地であり、この言葉こそ2年間の成長の証だと思ったわけです。
確かに武道館を通過するようなバンドは当然、影響力も周囲からの期待も大きくなるし、
広い層にリーチする曲とか、大きい会場を想定した曲とか新しさを求めてもおかしくない。
実際に「eureka」の時にはきっとそんな一面を意識していたからこそ自らノーを叩きつけたんだと思う。
むしろ大きな存在になったからこそ、シーンの立ち位置とか、周囲からのイメージとか良い意味で顔色を伺う必要がなくなった。
つまり、自分たちが目指す04 Limited Sazabys像にひたすら向き合えばいい。それが1番求められている姿であると。
そしてそれはまさに10年間続けて培ってきたバンドの土壌をしっかり固めるという取り組みでもあったはず。
もちろん人気とともにメディア露出は増えた。
今年は結成10周年のアニバーサリーで武道館より大きい東名阪のアリーナ会場を回り、フェスではメインステージを任されるようになった。
自身が主催する「YON FES」をはじめ、色んなジャンルのアーティストと混ざって競演を重ねた。
それをプラスと捉え、外の新しい環境に身を投じる度にバンドの内側の核を意識的に探ってきたことで「SOIL」は生まれたと思います。
アリーナツアーを終えた後にGENさんが
「これ以上大きいステージでやりたいとは思わないかもしれない」
とも話していたことからも、等身大、自然体、自分らしさといったロックバンドの土壌を大切にしたいという今のバンドの状態が伺えました。
行き着く場所にはある程度たどり着いた。当然ここからさらに上を目指すけど、どのベクトルを持って上を目指すのか。
規模感や数字だけじゃない部分で大きくカッコよく成長していく道を進むんだというロックバンドの姿勢が「SOIL」には刻み込まれてます。
シングル曲が引っ張るアルバム
ここまで書いてきたような過程を経て「SOIL」という天然由来のパワフルな土壌が完成しました。
なんでそこまで強固になったかというと、土壌を築く過程で生まれたシングル曲がアルバムの根幹となって引っ張っているからだと思います。
実際にメンバーもインタビューで「シングル曲が強過ぎた」と言うぐらい。
今年の3月にリリースされてアルバムの2曲目に収録されている「My HERO」は、
バンドを始めた頃に憧れていたヒーローのように自分たちもなれたという自信と、規模感以外で大きなバンドになることを表明したような曲。
スターじゃなくてヒーロー。等身大で輝ける距離感をバンドもリスナーもお互いが求めてきたからこそ、フォーリミはより強くなったと思います。
そして、1年前にリリースされた「Squall」がアルバムの最後を担っているのが今作のキモ。
「04 Limited Sazabysはどんなロックバンドであるべきなのか?」
とバンドの内側に問いかけた曲であり、
「誰の時間、誰の夢、誰の人生を生きてるんだ?」
とリスナーの内側に突き刺さるメッセージソング。
この曲が出来たことで「SOIL」のストーリーが始まったし、この1年ライブでも欠かせない代表曲に成長しました。
「Squall」のツアーが終わった頃に
「次のアルバムはこの曲がラストにドンと構えていたら良いんじゃないか」
と思っていたのが現実になった時点で、僕の中で「SOIL」が凄いアルバムになるってことは決定事項でした(笑)
本当にこのアルバム、今のバンドの状態に至る過程として「Squall」と「My HERO」の2曲が出来たことに意味があって、アルバムの中でも1番太い軸を担っていると感じます。
シングル曲がちゃんと地続きで導いたアルバムってメジャーのアーティストであるほど少ないと思うし、そういう意味でも健全な流れで生まれたアルバムだと思いますね。
10年かけて育てた強固な土壌
というわけで、何度も言うけど強力なアルバムが誕生しました。
「eureka」で見つけた光の先にあったのは、何もない土地。
なんなら荒れ果てたような場所だったかもしれない。
そんな土壌を時間をかけて踏みならして地を固めたのが「SOIL」
ありのままの強さが1番強いんだぞってことを見せつけられました。
もちろん作品をリリースする度に立ち位置、目標、周囲からの見られ方は変わっていくし、
フォーリミは毎回そのタイミングそのシチュエーションに応えた作品を世に出してきたと思うから、
今と昔を比べて優劣をつけたり、今作が傑作だとか言うのも違うのかもしれない。
前作からの2年間の変化も勿論大きいけど、バンドが10年続いてようやく育て上げた土壌。
ここからツアーで更に地を踏みしめる姿と、より強固な土壌から次に何が育っていくかに僕らは期待しようってことですね。
今度はスケールの大きい作品ができるかもしれないしポピュラーミュージックになるかもしれない、はたまた全編英語詞のメロディックなアルバムかもしれない。
ただ、この先「フォーリミってどんなバンドなの?」って言われた時に必ず立ち返るアルバムになったら良いなと。
10年かけて育て上げられたバンドと、バンドの背中を見ている人達のこれからを育てる1枚になって欲しいです。
気づけば僕も04 Limited Sazabysの音楽に出会ってから4年ぐらいが経って、自分の中の希望も絶望も彼らの音楽に背負ってもらって来ました。
今は純粋にこんなカッコ良いロックバンドがこの時代に存在していることを誇りに思います。
楽曲ごとの感想も発売日以降にまた書くので、この記事を読んでくださっている方もそれまでに沢山聴き込んで下さい!