Sugar(@Sugarrrrrrrock)です。
2018年9月9日、伝説のパンクバンドHi-STANDARDが主催する「AIR JAM 2018」を観に千葉県のZOZOマリンスタジアムに行ってきました。
1番の目的は、僕がヒーローと慕うバンド、04 Limited Sazabys(通称フォーリミ)が初めて出演するから。
以下、伝説のイベントとそれを経験した自分の一部始終です。
目次
驚愕のタイムテーブル、1週間前から緊張
この日の1週間前から緊張していた。
緊張の理由は驚愕の出演順(タイムテーブル)にあった。
我らがヒーロー代表の04 Limited Sazabysが、AIR JAM初出場に関わらず、出番が大トリの手前ってことになってるんですよ。
彼らにとっての偉大なヒーローのハイスタに直接バトンを渡すポジションにいるわけですよ。
本当に、何してくれてんだよ。
トップバッターか2番目ぐらいだと思ってたよ。
ここまで言うからには当日もちろんフォーリミのTシャツ着ていったんだけど、同じバンT着てる人が全然いなくて、始まる前からアウェーを何となく感じていた。
ライブ観に行く前に駅とか電車の中で緊張したことなんてない。
マリンスタジアムに着くまでの道中も、他のフェスだったら秒で見つけられる「04」が、目を凝らしてやっとポツポツ見つかるぐらいだった。
何だか肩身が狭かった。
でも、こっちも緊張させられるライブなんてなかなかない。
「この感情はとてもレアな経験なんだ」と言い聞かせて、期待と緊張を抱えながら辿り着いたスタンドの席に腰を下ろす。
アリーナにいる人は米粒だし、陸より空の方が近いんじゃないかってぐらい上のほうだったけど、真正面にステージが見える特等席だった。
モニターに、出演順にアーティストの名前が映し出される。やっぱり10組中9番目。
着いたらすぐお目当てが始まる予定だったんだけどなぁ。
心臓バクバクさせて来たけど、もちろん他の出演者だって好きなバンドが揃っている。
目当ての前にライブする8組を観ていたら、緊張を感動が大きく勝ち越していって、目当も主役も出なくたって充分満足感を得て帰れるぐらいだった。
太陽4号のタクマさんの語りに毎回救われてる。
ライブに行けば行くほど映画観れば観るほど本を読めば読むほど感動しなくなっていってしまうけど、それは本物の感動を知ってるから。そんな簡単には更新されない大切なもんだから。今日は塗り替えそうだ。
— Sugar@ロックとブログ (@Sugarrrrrrrock) 2018年9月9日
04 Limited Sazabysライブ① アウェーのヒーロー
ついに来てしまった。もうかなり感動しちゃったから、それを越えていけとか、倒せとかは違うけど、マジで頑張れ、やったれ、責任重大やで
— Sugar@ロックとブログ (@Sugarrrrrrrock) 2018年9月9日
「AIR JAMのフォーリミがアウェーらしい」
「周りはハイスタ待ちの人ばっか」
タイムラインを見たら、同じような気持ちを抱いてこの日を待ってた人が沢山いた。期待と不安と緊張は、会場の外からも伝わってきた。
ファンも含めて全員で闘いを挑んでいるみたいだ。
自分には上空の離れた席から念を送ることしか出来ない。
18:20スタート予定だったのに結局1時間弱ぐらい押して、空は真っ暗。太陽はもう笑ってない。
サウンドチェックを終えて「いよいよ! 」みたいなツイートを打ち込んでる最中に、ライブは突然始まった。
サウンドチェックから一旦ステージ袖にはけることなく、いつもの入場SEも鳴ることなく。
押してるし、この後の主役に少しでも時間を回す配慮だったかもしれないし、そうじゃなかったかもしれない。
「夢みたいだけど現実、来たぜAIR JAM!!俺たちがどうしてこの位置なのか、正直わからんけど、ただひとつ言えるのは、やるしかないってこと!」
「いつまでもオッサンに先頭走らせてたまるかよ!!時代も世代も超えて!名古屋04 Limited Sazabys始めます!」
GENさんまさかのケンカ腰でライブはスタートした。
「AIR JAM この曲知ってるやつ何人いんだよ!!」
いつもは大多数の知ってる人たちへの煽り文句だけど、この日は知らない人も多いフロアに対する果たし状でもあり、自身を追い込み鼓舞するための言葉だっただろう。
1番バッターは「monolith」
「きっと間違えられないな 夢にまで見たAIR JAMのステージ!!」
この曲を出した年にHi-STANDARDのレーベルPIZZA OF DEATHが主催する「SATANIC CARNIVAL」に出演した頃から、ヒーローの夢の快進撃は始まっていった。
それから何度も夢を叶えて更新して、夢の先の夢のそのまた先の夢が現実になっている。
ステージから離れた席だから、聴こえてくる音は正直良くないし、歌もMCも言葉は上手く聞き取れない。
そのせいか、いつも以上に突っ走ってるように聴こえた。
KOUHEIさんのタイトなビートがただの爆音にしか聴こえないのが逆にイカしてた。
上空から見下ろしたスタンディングゾーンは、 盛り上がってるようにも見えるし、あんまり盛り上がってないようにも見える。
ただ満場でホームの状態だとは到底言えない光景だし、前の方で観ていたファンもホーム感を作り出そうなんてそんな余裕もなかったはず。
「世界一憧れたステージに今立っています!かつてないプレッシャーをくれたHi-STANDARDありがとうございます!」
「朝からずっとソワソワしてたんですけど、ソワソワしてる僕を見て色んな先輩が”おい頑張れよ〜”ってニヤニヤしてました。”お前らならこの壁を越えれる”と思ってくれてこの位置に置いてくれたと思います」
緊張も自信も素直に伝わってくるMC。
ただ、他のライブやフェスで時折見せる余裕感は全くない。本当の本当に壁を越えにかかってる目をしていた。
「先日ここにELLEGARDENを観にきて、今日のイメトレをしてたんですけど、完全にトップバッターのイメージだったんで何の意味もなくなりました」
「ハイスタの曲とかやった方が良いのかな?とか考えたんですけど、俺たちの曲全部ハイスタの遺伝子詰まってるし、自分たちの曲を全力でやるのが正解だと思ったのでぶっ放します!めっちゃカッコ良い新曲を持って来ました!」
と演奏したのは、10月にリリースされる3枚目のフルアルバムの1曲目を飾る「message」
ド直球のメロディックパンク。のっけから2ビートで、英語詞で、1分ちょっとで駆け抜ける、原点の遺伝子が今に乗り移った新曲。
「愛してやまないハイスタンダードに捧げます!」
と続いたのはもちろん「My HERO」
このステージを見届けに来た俺たちが04 Limited Sazabysに捧げる曲でもある。
「やれやれ!走れ走れー!」
とフロアに向けて煽るRYU-TAさん。
それを観て「行け行け!もっとかましたれ!!」と心の中でステージに向かって叫ぶ。
このバンドをヒーローだと思って背中を追いかけている人が全国に沢山いるんだ。
「すっかり日も暮れたので、04 Limited Sazabys流”Starry Night”を聴いてください」
と粋のある曲紹介をした「midnight cruising」も夏の夜空の下で聴いたのは初めてだった。
04 Limited Sazabysライブ② ムチャクチャやろうぜ
「AIR JAM 2000のビデオは比喩表現でなく擦り切れるほど観ました。あのビデオで僕の人生が全て狂わされました。狂わせてくれて本当にありがとうございます!」
「僕がハイスタと出会った時にはもう止まってて、ハイスタと90年代を生き抜いてた人がずっと羨ましくて嫉妬してました。2000年のAIR JAM行った人がこの中にもいっぱいいると思うけど、僕の中ではその人たちもレジェンドで、その人たちの前で音を飛ばせることを誇りに思います!」
最初のケンカ腰はどこへ行ったんだと思うぐらいに素直なGENさんのリスペクトの言葉、しかもそのファンにまで尊敬の意を示していた。誇れるポイントがまた1つ増えてしまった。
ただその直後に、
「エルレガーデンもハイスタンダードも日本のために帰ってきてくれたと思うんですけど、ひょっとしたら俺たちみたいな若いバンドが、眠ってたバンドを蘇らせたことに少しは貢献してるんじゃないかと思ってます。少しは感謝してください」
と言ってしまえるちょっとニクい部分も、彼にとって欠かせない”らしさ”だ。
「昔作った曲をここで鳴らせると思うとウズウズして仕方ないです。ハイスタ前のAIR JAM、過去最高の条件が揃ってるので、過去最高の歌が歌えそうです!」
このMCの途中から聴こえてきたHIROKAZさんのギターの音色が、次に演奏する過去最高の歌を予感させていた。
大事なライブの大事なタイミングで歌われてきた、
定番曲ではなくて、ちゃんと場所を選んで大事に歌われてきた曲。
「1つ1つ積み上げてきたものを、ここで1度台無しにしようという曲です。」
世界一立ちたかったステージでこの曲をやらない訳がないと思って、自分もマリンスタジアムでこの曲を演奏しているシーンを何度か想像してきた。
でもそれもやっぱりトップバッターのイメージで、まさか陽が沈んだ後の夜空に響くとは思っていなかった。
GENさんにスポットが当たる。
I can’t be saticefied such things
I wanna stack up higher than you did
If you want to create do break a real things
Let’s break everything anyway
歌詞(VA ALL LAND TAKE & ANTENNA) | 塩がいいのにタレにしてしまったより
一言、一音、大切に詞を積み上げて、04つの楽器が盛大に鳴り響く。場内の灯りがステージ全体を明るく照らす。
「AIR JAMの本気見せてもらって良いですか!!ムチャクチャやろうぜ“Buster call”!!」
爆音が全てをぶち壊し、瞼の裏寸前で留まっていた感情が決壊した。
この後のことはあまり覚えていない。
潤いきった感受性に、ラストの「Squall」を突き刺して、ヒーローは世界一立ちたかったステージを後にした。
「最高に良い時間と良い景色をありがとうございました!名古屋代表04 Limited Sazabysでした!!」
と、いつものセリフを残して。
夢みたいだけど現実だった。試練に対して満点快答だった。
壁の向こう側まで、その音楽は届いてたと思う。
90年代を生き抜いたレジェンドのみなさん、俺たちのロックバンドもカッコ良かったでしょ??
Hi-STANDARDライブ:ヒーローのヒーロー
ここまで頭も心もフル回転で観たライブは初めてで、ヒーローを見届けた後はしばらく抜け殻みたいに放心していた。
でも、少し経ったら今度は今日の主役、自分にとって「ヒーローのヒーロー」のライブが始まる。
初めて観たHi-STANDARDのライブは本当にトンデモなかった。
さっきまでとは打って変わって上から下まで全方位ホームグラウンド。全編において地鳴りのように響く大合唱。
自分が好きな曲は「ハイスタ流”midnight cruising”」こと「Starry Night」
幕張の夜空からしっかり降り注いだ。
ステージ袖にも溢れるばかりのバンドマンや関係者が集結していた。
そしたら「My First Kiss」の最後のサビでさっきまで夢のステージに立っていたGENさんが乱入して一緒に歌っていた。
昨年のフォーリミの主催フェスでフォーリミがこの曲をカバーした時に難波さんがステージに乱入したのを思い出した。
ライブの後半に難波さんが、
「時代も世代も超えていく。それが今の俺たちのテーマ!」
って言って「All Generations」を演奏した時に、この日のラインナップ、出演順、そしてGENさんのライブの最初の言葉がちゃんと報われているように思えた。
アンコールの最後の「MOSH UNDER THE RAINBOW」で、大量の花火が打ち上げられる中、みんなで話になって肩組んで歌って踊っている光景は、今思い返せばこの世のものだとは到底思えないぐらいにハッピーの極みだった。
自分のもう1人のヒーロー、細美武士さんがベロベロに酔っ払いながらフロアに突入して踊ってる姿がモニターに抜かれていてめちゃくちゃ笑った。
曲が終わってもなかなかみんなステージからいなくならないし、どこで終わりなのかイマイチわからないまま、ハッピーエンドから少しずつフェードアウトしていくようにスタジアムを後にした。
伝説を終えた帰り道
帰り道、緊張しながら恐る恐る会場に向かってた自分とは別人のように浮かれていた。
最寄りの京葉線が止まっていて、別の駅まで数十分歩く羽目になったけど、足取りは軽かった。
まぁそれはきっと、自分のいた場所が日陰で椅子もあったからだろうけど。
帰りの電車で、「フォーリミ エアジャム」で検索したツイートを片っ端から見ていた。
感想をツイートしている多くの人が「Buster call」の名前を挙げていてとても嬉しくなった。
そして、90年代を経験しているであろう方々が、
「めちゃくちゃ良かった」
「敬遠してたけど〜」
「今日のMVP」
と呟いているのを見て、心の中でガッツポーズした。