フェス

[ライブレポート] 4/7 YON FES 2019 2日目を観た

4/6~4/7の2日間、愛知県のモリコロパークで04 Limited Sazabysが主催する「YON FES 2019」へ行ってきました。


2016年からスタートし、今年でフォーリミにとって節目の04周年を迎えたヨンフェス。

この記事では2日目の4/7に出演した11組のアーティストのライブアクトの模様を言葉にしてお送りしていきます。

ライブレポート

KEYTALK(SKY STAGE)

セットリスト

M1. MATSURI BAYASHI
M2. MONSTER DANCE
M3. Summer Venus
M4. 桜花爛漫
M5. Love me
M6. 夕映えの街、今
M7. 太陽系リフレイン

初年度以来3年ぶりにこのフェスに帰ってきたKEYTALK。2日目のトップバッターという立ち位置にはフォーリミからの強い要望があったようだ。

 

前回出演した2016年の時点では生まれていなかった「MATSURI BAYASHI」や「Summer Venus」といったお祭りナンバーを序盤から惜しみもなく投下し、このバンドらしさを存分に発揮する。前日に続いてこの日も快晴、これから賑わうであろう夏のフェスシーズンを先取りしていった。

 

メンバー全員フォーリミと同い年ということで、KEYTALKも昨年メンバーが全員30代に突入。メジャーデビューからも5年が経過し、キャリア的にも中堅に差し掛かったタイミングでバンドはメジャーレーベルの移籍を発表した。

「バンドにとってもメンバー1人ひとりひとりの分岐点になる」

と巨匠が話していたように、30を過ぎてメンバー個々の芯がより太く、より頼もしいバンドに成長するための大事な時期にいるのだと思う。

今までメインでMCを回していた武正さんがこの日は一言も発することなく、真ん中に構える巨匠が主だって話していたことからもバンドの変化を感じる。

 

いわゆる定番曲をほぼやり切った後のライブ後半戦

「お互いまだ小さいライブハウスでやってた時からずっと切磋琢磨してきた。その時に俺らがよく演ってた曲を、フォーリミのドラムの力を借りてやりたいと思います!飛びたい奴はどんどん飛んで来い!!」

とフォーリミのこーへーさんをゲストに招いて披露したのは、全国デビュー作のオープニングナンバー「夕映えの街、今」

 

お得意のダンスフロアは狭いライブハウスのような熱狂に一転。打席を変わった八木氏はステージ上を駆け巡りフロアに飛び込んむ。

昨年長野でフォーリミとの2マンライブを観た時も、フォーリミに感化されたようにパンキッシュなライブをしていた、あの時の熱狂がこのフェスでも再現されているかのようだった。

 

 

この日、KEYTALKは2年後に横浜スタジアムでワンマンライブを行うことを目標にしていることを公言していた。

フォーリミも同い年でどんどん大きい場所でライブを演っていたKEYTALKの背中を追うように大きいステージでもライブを行うようになったし、フォーリミがメロコア・パンク以外のジャンルと交わるようになる大きなきっかけとなったのが同い年のKEYTALKの躍進があってこそ。

 

今はお互いのやり方でそれぞれの道を進んでいるけど、良いライバルであり続けることは間違いない。

でも、この日のようにフォーリミと交わって凌ぎを削って来た証となるような熱いライブをこれからも見せて欲しい。


ENTH(LAND STAGE)

セットリスト

M1. Will
M2. ムーンレイカー
M3. “TH”
M4. HAHA
M5. HANGOVER
M6. LOVE ME MORE
M7. Gentaleman Kill
M8. SLEEPWALK
M9. Get Started Togehter
M10. Bong!Cafe’au lait!Acoustic guitar!

 

今となってはヨンフェスの常連バンドとして存在感を示すようになったENTH。これで3度目の出場となった。

入場SEの「Night」に続けるように「Will」そして「ムーンレイカー」どド直球のメロディックパンクを叩き込み、オーディエンスを完全に目覚めさせると、その後の「”TH”」からは2分台の短い曲の中に何曲分もの急展開を見せていく。こっちこそENTHの本流と言えるような曲を次々と連発。

 

名古屋だから、フォーリミと仲良いから、そんな理由を吹っ飛ばす。大きく1つに括られてしまうようなジャンルの中で、独自の音楽を高いレベルで作り上げている実力派だ。

 

とはいえ、今回の出演に際してだいぽんさんは

「毎年ヨンフェスに来ると楽屋にメッセージとか置いてくれて、今年も楽しみにしてたんだけど、この前ゲンくんと遊んだ時に”ENTHはもう(メッセージは)良いでしょ”って白紙で渡された(笑)」

と、普段からフォーリミと仲良くしている故の扱われ方をされていることをカミングアウトした。

 

「ヨンフェスで届けたいメロディーがある」

と言って演奏された「LOVE ME MORE」は、ドライな態度を取ったフォーリミへの当て付けだったかもしれない。

 

 

昨年は2日目のトリでフォーリミにバトンを渡す役割を担った。西日が射す中でのENTHのライブはとてもエモーショナルだった。

今年はLAND STAGEのトップバッターだったが、

「こういう空に向けて歌いに来た」

と演奏された新曲「SLEEPWALK」を始め、カラッと晴れた青空の下でヤンチャに伸び伸びステージで躍動する姿もとても似合っていた。。

 


SUPER BEAVER(SKY STAGE)

セットリスト

M1. 青い春
M2. 閃光
M3. 予感
M4. 秘密
M5. 27

「敬愛すべき04 Limited Sazabysとこの時間から集まってくれたあなたに、とびきりの愛を込めてやらせて頂きます」

と2年ぶりにこのステージに戻ってきたSUPER BEAVERは、晴天の空に両手を掲げた「青い春」からライブをスタートした。

 

「俺らはステージに立って35分間全力でやるのみなんだけど、あなた達はそれを何度も受け止めるんだよね」

とMCでぶーやんさんが話していた通り、フォーリミが呼んだバンドだからこそ、多くのアーティストを一目観ようと動いていたことだろう。

 

ヨンフェスは横並びの2ステージで次々と熱演が繰り広げられる。ステージ後方の丘から見る眺めも素晴らしいし、ステージ以外にもフォーリミに力を貸してくれたコラボブースなどが多数あるが、何と言ってもライブを観るのに適したロケーションだと思う。

そうして目の前のライブに心を奪われる体験を繰り返し、毎年「閃光」のごとくあっという間に終わってしまうのだ。

 

「あなたがカッコ良いと思っていることが宇宙で1番カッコ良いに決まってるだろ。音楽で1つにとか、一体感とか、バカなこと言ってんじゃねぇ。束になってかかって来るんじゃなくて、お前1人でかかって来い!」

という言葉に続けられた「秘密」では、このフェスにおいてもビーバーのライブは1対1の対峙であることを強く訴えかけていた。

 

「友達だけど友達じゃない理由で呼ばれている気がしてとても嬉しい。これって大事なことだと思っていて、馴れ合いで遊ぶんじゃなくて、好きな人とは仕事がしたい。仲が良いからじゃなくて、このバンドが主催するイベントがカッコ良いから。出たいと思ったバンドとだけ一緒にやる」

馴れ合いや遊びでは片付けられない。好きなもの好きな音楽にこだわって信じ続けた人達がそれをぶつけ合う場所として存在しているのだ。

 

最後のMCでは

「やれば出来るとか、生きてりゃなんとかなるなんて思ったことは無い。やったって出来ないこと、生きてたってどうにもならないことがあることは知ってる。ただ1つ、やるには、どうにかするには、生きている以外の選択肢はない。早くして命を経ったロックスターをカッコ良いと思ったことはない。生き続けてナンボ、いつだって何度だってここからが勝負だ」

と、昨今のロックバンドシーンの悲しい別れを踏まえてぶーやんさんは想いを語り、”ロックスターは死んだ まだ僕は生きてる”と「27」を歌い出した。

 

大人になっていく度に、ロックが無責任であってはいけないと思うようになった。

周りにいる人達の笑顔が何よりも自分を突き動かすことも、身をもって感じるようになった。

 

生き続けていくことは何より、その上でどんな自分になりたいかと考える機会を与えてくれるのもライブの現場だと思う。

4年が経って、ステージに立つアーティストが放つ言葉に説得力と深みをより一層感じるようになった。このフェスも大人になったんだ。


Hump Back(LAND STAGE)

セットリスト

M1. 月まで
M2. 高速道路にて
M3. 拝啓、少年よ
M4. 短編小説
M5. ナイトシアター
M6. 星丘公園

 

ついさっきGENさんに「SUPER BEAVERめちゃくちゃ良いライブしてたよ」って言われたので頑張ります!とサウンドチェックで意気込んだHump Backは、フォーリミとの対バンを待つことなくヨンフェスに”飛び級”参戦。

この日の前半の流れはこれまで観てきたヨンフェスの中でも1番だったように思う。

 

「高速道路にて」のラストで

「大好きな04 Limited Sazabysにカッコ良いって思われたいんだ!」

と叫んだベースのぴかちゃんは、その後のMCでボーカルの萌々子さんに

「かつては必死にチケットを探し、時にはディッキーズを履いて04 Limited Sazabysのライブを観に行っていた」と紹介された。

 

前日出演したtetoのドラム福田さんも昨年のツアーで”フォーリミのキッズだった”と話していた。

数年前の自分と同じ境遇とも言える人達がこうして憧れのヒーローに呼ばれてステージ側に立っている光景、純粋に夢がある。

 

「メンバーの夢が叶うことも自分の夢やし、私の1番の夢はHump Backというバンドでライブをして自分の好きな歌を歌うこと。今日もこのヨンフェスで夢を叶えに来ました!」

と萌々子さんにとっても自身の夢を更新した「拝啓、少年よ」を力強く演奏した。

 

続く「短編小説」の間奏で

「悪役にもなれないし、ヒーローにもなれない。そんなんじゃフォーリミは相手してくれない」

と語ったのは、前日出演したMy Hair is Bad先輩のライブを観ていたからこそ。そしてHump Backもライブハウスのヒーローになる自覚があるからこそ。

 

 

「最近ちょっと名前を聞くようになったから呼ばれたなんて1ミリも思ってないし、そんなことで04 Limited Sazabysがバンドを選ぶなんて思っていない。ライブハウスでライブをやり続けたから呼んでもらえたと思っています。どんだけ大きくなっても、バンド対バンドで付き合ってくれる04 Limited Sazabysに感謝してます」

と、最後に改めてフォーリミへのリスペクトを語り、ロックンロールが鳴り止まないモリコロパークに「星丘公園」を届けた。

 

 

2年前に下北沢や高田馬場のライブハウスでHump Backを初めて観た時には、フォーリミと交わる未来なんて1ミリも想像していなかったが、その当時からこの後同じステージのトリで出て来るハルカミライや、昨年のヨンフェス出演したyonigeやSIX LOUNGEと凌ぎを削り合っていた。

今振り返ってみるとその道のりは、フォーリミがこの日出演したKEYTALKやBLUE ENCOUNTなどと一緒に大きいステージに歩を進めて来たかのよう。

 

後ろからヨンフェスの次の世代の影が大きくなるほどに、このフェスとフォーリミももっとカッコ良くなっていく。そんなことを感じさせられたアクトだった。

 

SiM(SKY STAGE)

セットリスト

M1. DiAMOND
M2. Amy
M3. GUNSHOTS
M4. T×H×C
M5. Blah Blah Blah
M6. KiLLiNG ME
M7. f.a.i.t.h

前日の10-FEETの出演に続いて、4年目で遂にヨンフェスにやって来たSiM。

“悪役をやりに来た”と意気込んだ前日のMy Hair is Badとは異なり、見た目もキャラクターも含めて正真正銘の悪役の登場だ。

 

序盤に演奏された「Amy」は、SiMが主催するDEAD POP FESTiVALで昨年フォーリミがカバーしたのを受けての選曲だろうか。

そんな図らいを見せつつも、ステージ袖でフォーリミのメンバーが見守る前で

「アイツらがとっても大事にしている地元のフェスに、ようやくSiMを呼んでくれました。。。coldrainありがとう!!」

と言ってのけるのもこのバンドらしい。笑

(coldrainは一昨年に出演した時に”俺らもいつか名古屋でフェスがやりたい”と話し、来年ついに実現する)

 

「なんかヨンフェスって側から見るとフワフワしてる感じがして、あの風船の感じとかね。見に来たお客さんも”あ!ここにタンポポが咲いてる!!”って言ってそうな軟弱な奴ばっかだと思っているから、ここを地獄に出来るか不安ですよ」

というMAHさんのMCに触発されるかのように、ライブ中盤では「T×H×C」では巨大なサークルが渦を巻き、「Blah Blah Blah」のシンガロングは地鳴りを起こすような熱狂ぶりを見せた。

 

 

「リスペクトを込めて、フォーリミと出会った時によくやってた古い曲をやろうかなと思ったんですけど、出会った時のフォーリミの印象をほとんど覚えていないので僕らの1番有名な曲をやります。2019年にもなってKiLLiNG ME知らないとか言うんじゃねぇぞ!!」

と演奏された「KiLLiNG ME」では、間奏で

「もしこの曲でお客さんにギターを弾かせる件があったら自分にやらせて欲しい」

とSiM宛てにお便りを書いたヒロカズさんが登場。黒いTシャツに赤髪の風貌はSiMの雰囲気に溶け込んでいた。

 

終始MAHさんからの愛のあるフォーリミイジりが続いたが、

「バンドがフェスをやることの大変さや、仲間へ感謝の気持ちを返すことの大変さを身を持って知っているから、ずっとブレずに続けていることはとても素晴らしいことだと思います」

と、最後にはフェス主催バンドの先輩らしい一面を見せていた。6月に行われる今年のDEAD POP FESTiVALにもフォーリミは出演する。

 

SPECIAL OTHERS(LAND STAGE)

セットリスト

M1. puzzle
M2. BEN
M3. LOOP

 

2日目もここで丁度折り返し。疲れが出始めたタイミングにSPECIAL OTHERSが奏でる心地良いインストナンバーが沁み渡る。

 

このフェスに集まるお客さんは普段スペアザのライブを観る機会はなかなか無いかと思うが、それを見据えた上で新人バンドばりの腰の低さと、芹澤さんと宮原さんを中心に

「インスタで”スペアザ凄い人気だった。SiMの盛り上がりに匹敵してた”って言っといて!」

などと軽快なトークでフロアを笑いに包んだ。

 

「SiMに匹敵する盛り上がりを見せるには、勘のいい人なら分かると思うけど、俺らだけの力では難しいから、G(ジー)E(イー)N(エヌ)を呼んでも良いでしょうか?」

と”ここで出なきゃいつコラボするんだ”と言わんばかりにフォーリミのGENさんが登場。少し考えてみると彼がLAND STAGEで歌うのは4年目にして初めてだ。

 

演奏したのはもちろん「LOOP」

チルアウトな曲調に乗せられるGENさんのボーカルがLAND STAGE一面に伸び伸び響き渡る。こういう曲をフォーリミでも作って欲しいと思ってしまうぐらい、まさに贅沢なひと時だった。


クリープハイプ(SKY STAGE)

セットリスト

M1. 栞
M2. イト
M3. おばけでいいからはやくきて
M4. 5%
M5. 二十九、三十
M6. 社会の窓
M7. HE IS MINE

 

2日目の出演者は初年度ぶりにヨンフェスにカムバックしたアーティストが数多く並んでいるが、クリープハイプもその1組。

 

昨年のロックシーンの代表曲の1つと言っても過言ではない「栞」のサビをいきなり弾き語ると、尾崎さんが

「新しい街に行っても”ゲン来てね”? 皆さんの気持ちが通じたら来てくれるかもしれません」

と不敵な笑みを浮かべると、Aメロの途中からGENさんがゲストボーカルで登場。

あいみょんを始め、この曲のゲストボーカル陣は昨年末のRADIO CRAZYで集結したのだが、フォーリミは同フェス出演をキャンセルしたため今回が待望の顔合わせ。1つ前のスペアザに続いて2曲続けての豪華コラボとなった。

 

GENさんがステージを去った後はここ最近のライブナンバーを淡々と披露。

その中でも4度目のヨンフェス、そして30歳を迎えたメンバーの背中を押すかのように「二十九、三十」が優しく鳴り響いていたのが印象的だった。

 

「名古屋でフェスをやって東京でも活躍してるって気持ちが分からないけど、すごく憧れるし羨ましいと思います。これからも続けていって、また呼んで欲しいです」

と改めてエールを送り、最後は「社会の窓」からの「HE IS MINE」の2大合唱でフィニッシュ。

 

同世代のアーティストが集結した中でフォーリミが1年目にクリープハイプを呼べたのは、その前年にクリープが主催イベントでフォーリミを呼んだ縁があったから(そのイベントで自分は初めてフォーリミのライブを観た)。

日頃から群れている訳ではないけど、だからこそ流れる2バンド間の程よい空気感が会場には流れていた気がした。


Survive Said The Prophet(LAND STAGE)

セットリスト

M1. T R A N S l a t e d
M2. Fool’s Gold
M3. found & lost
M4. Right and Left
M5. When I
M6. Network System

 

本来ヨンフェスに出演予定だったが、活休状態に入ってしまったSUNNY CAR WASHのピンチヒッターとして開催直前に出演が決まったSurvive Said The Prophet。

とはいえ、サバプロもフォーリミの同世代で昨年対バンで競演しているし、メンバーがフォーリミの「message」の詞の英訳を手伝ったりと、公私ともに血の通ったバンドだ。

 

ボーカルのYoshさんは

「ヨンフェスに1番最後に呼ばれたバンドです。なのにこんなに暖かく迎え入れてくれるのが嬉しくてしょうがないです。でもお前らタンポポ拾ってる場合じゃないからな!」

とラウドシーンの先輩でもあるSiMのMCを引用したり、

「次にやるバンドと今ステージに立っているバンドが同じアニメの曲をやりました。これだけは言わせてくれ。”found&lost”の方がカッコ良いから!!」

とサバプロの次にSKY STAGEに出演するBLUE ENCOUNTにも牙を剥いていた。

こうやってフォーリミ以外の共演者に対しても自身の存在感を示すサバプロの姿勢は、このフェスがライブハウスの対バンの延長線にあるかのように思わせてくれる。

 

最後のMCではフォーリミがサバプロに助けを求めたことに対して、

「急遽とはいえ、俺らのことを思ってくれて頼りにしてくれたバンドが日本にいて本当に幸せです」

と、逆に感謝の想いを伝えていた。

 

サバプロの楽曲を単にラウドロックという言葉で形容するのは難しい。Yoshさんの歌を聴かせる曲も多いし、ポップで繊細な演奏で魅せる曲もある。

今までフォーリミがパンクやメロコア畑に馴染めなかったように、サバプロもラウドシーンにずっと馴染めずにいたという。

 

同じような境遇を経験した身だからこそ、色んなジャンルが交わるこのフェスでも逆境を跳ね返すかのようにステージで活き活きと躍動していた。


BLUE ENCOUNT(SKY STAGE)

セットリスト

M1. もっと光を
M2. NEVER ENDING STORY
M3. ロストジンクス
M4. monolith
M5. LAST HERO
M6. DAY×DAY
M7. THANKS
M8. VS

「大切な仲間の大切な日です。ということはあなたにとっても大切な日だよね?2年ぶりに帰ってきました!」

3度目のヨンフェスでブルエンも遂にフォーリミにバトンを渡すトリ前の時間帯に登場。

 

いきなりの大合唱を響かせた「もっと光を」に始まり、数年前にライブハウスでフォーリミとやり合ってた頃の楽曲を中心にライブチューンを連発した。

 

途中「LAST HERO」のイントロで辻村さんのベースが鳴らなくなるハプニングがあったが、ベースが復旧するまでの時間で3人で「monolith」を演奏するサプライズも(もしかしたら計画的犯行だったかもしれないけど。笑)

 

原曲のキーの高さに途中から泣きわめく子供のようになっていた田邊さんの姿に笑いも起こったが、

「高すぎて全然声出ねえ!フォーリミもカッコ良いけど俺らも負けてないから!」

と、再び「LAST HERO」を叩き込んだ。

悪役をやり切った前日のMy Hair is Badに対して、ブルエンはヒーロー同士の直接対決を挑みに来たのだろうか。

 

終盤のMCで

「6年前に大須の味仙の窓側の席で出会って、それまで対バンもしたことなかったのにその日の夜に夢とかこれからの展望とかを深く語り合った」

と、フォーリミと出会った日のことを話し始めた田邊さん。

 

「6年前フォーリミに出会ってなかったとしても、お互い色んなことを積み重ねて今日まで来ていると思う」

と言い出した時には、おいおいそんなこと言ってくれるなと思ったけど、

「あいつらに出会ったから、毎日悔しいし負けられないし、毎日楽しい。04 Limited Sazabysっていう音楽を作ってくれて、04 Limited Sazabysってバンドを作ってくれてありがとう!!」

と、ステージ袖で観ていたフォーリミメンバーの方を向いて言い切れるのもこの男ぐらいしかいないと思った。

 

そんな盟友との熱いやり取りが交わされた後の「THANKS」では、ブルエンの姿に呼応するようにオーディエンスからもフォーリミへの感謝の想いが炸裂した。

 

 

大須の味仙で出会ったその翌年、フォーリミはバンドの覚悟を決めた「monolith」のツアーにブルエンを呼び、一方のブルエンはメジャーデビュー直前の自主イベントにフォーリミをゲストに呼んだ。

その後もバンド人生の大事なタイミングを共にしてきた、同じ釜の飯を食べてきた仲間にしか見せられないアクト。この日も熱々のバトンが主役へと渡っていった。

 

ハルカミライ(LAND STAGE)

セットリスト

M1. 君にしか
M2. カントリーロード
M3. ファイト!
M4. 俺達が呼んでいる
M5. 春のテーマ
M6. アストロビスタ
M7. それいけステアーズ
M8. ファイト!
M9. 世界を終わらせて
M10. エース

2019年のLAND STAGEを締めくくったのはハルカミライ。

サウンドチェックの時点からショートチューンを連発し、早くも大量のクラウドサーファーが飛び交っていたことから、オーディエンスの期待の高さが伺えるし、初登場にも関わらずフォーリミの直前という時間帯に抜擢されたのも頷ける。

 

初っ端から当たり前のように客席に突入したボーカルの学さんは

「これが終わったら向こう(SKY STAGE)に行くんでしょ?だったら、走る元気なくなるぐらいにやっちまおうぜー!!」

と意気込みを見せたのだが、

「って普通は言うわ。ハルカミライは一味違うぜ!向こうに行く元気、もっと歌う元気取り戻させてやるよ!!」

と更にオーディエンスを湧かせた。フォーリミへのリスペクトも込めつつ、こんなことをさらっと言ってのけるのだから、心を摑まされるに決まっている。

 

「みんな楽しみに来たんだろ?ごめん!俺が1番楽しみに来ました!!ここが世界の真ん中!!」

という掛け声を合図に季節感たっぷりの「春のテーマ」が鳴り響いた。

 

“自分が1番楽しむ”という言葉通り、学さんは時折SKY STAGEに向かって

「フォーリミ待ってる人!!早くこっちに来なよ〜!!」

と呼びかけて笑いを誘う。

 

「去年のツアーでめっちゃスパークしたのよ!ウチの俊(ベース)がめっちゃ酔っばらっちゃって、道端で寝ちゃったの。それを小松(ドラム)が探しに行ったら、小松も道で寝ちゃったの!だからこっちに来なよ〜!!」

衝動そのままに躍動するライブパフォーマンスに、こんな茶目っ気まで見せられてしまったらたまったもんじゃない。

 

「なぁ!桜が咲いてるぜ!!」

と、またしもこの季節にぴったりな「それいけステアーズ」を披露し終えた頃には

「あっちの人!もう来なくていいよ〜!!」

と熱心なフォーリミファンに白旗を揚げていた。

 

最初に見せた学さんの意気込み通り、ハルカミライのライブは一緒に歌えば歌うほど、もっと歌う活力が漲ってくる。

隣にいたお客さんが「なんなんこのバンドめっちゃ好きなんだけど!」と興奮気味に話していたのにめちゃくちゃ共感した。

 

 

既にオレンジ色の夕陽が照りつける時間帯。今年のLAND STAGEの最後に花火を打ち上げるように、ショートチューン「エース」を叩きこみ、

「全員バッチリだぜ!!」

とオーディエンスを大トリのステージへと送り出した。


04 Limited Sazabys(SKY STAGE)

セットリスト

M1. message
M2. fiction
M3. escape
M4. Chicken race
M5. days
M6. Brain sugar
M7. Shine
M8. Squall
M9. monolith
〜アンコール〜
EN1. swim
EN2. Remember
EN3. Remember

04年目の主催フェスを締めくくるべく、2日間の最終走者にバトンが回る。

昨年のGWに行われたバンド結成10周年のアニバーサリーライブで「これからはヒーローになってからの物語」と語っていたが、その1年間を象徴するかのように、この日のフォーリミからは今のバンドの頼もしさ、無敵感がガンガン出ていた。

 

「名古屋が生んだスーパーヒーロー04 Limited Sazabysです!関わってくれたバンドや皆さんが愛をくれて、今日は返すじゃないけど、真っ向から戦っていきたいと思います!」

とGENさんは自信たっぷりに語ったが、この言葉には”ヒーローになったフォーリミとして戦う相手は今まで以上に強い”という意味合いも含まれていたように感じる。

 

とはいえ、フォーリミのために集まって力を貸した人達で作った2日間。

「愛を届けられ過ぎ」

と口をこぼした「Brain sugar」の歌詞は、フォーリミとこのフェスに関わる人たちの相思相愛っぷりを象徴しているかのようだ。

 

「エネルギーに恵まれて晴天に恵まれて、すごく栄養を補充できた。皆さんにとっての太陽みたいな存在になって、特に名古屋の皆さんを光合成させたい」

と話すと、GENさんがゲストボーカルとして出演したSPECIAL OTHERSからキーボードの芹澤さんをゲストに迎え入れ、この5人でレコーディングした「Shine」を披露。

昼間に照りつける太陽の下よりも、この時のように陽が落ちる直前のタイミングがとても映える1曲だった。

 

終盤のMCで

「このフェスはライブの猛者たちが集まっている。カッコ良いライブをやって、本気で俺たちを戦いにやっつけに来てくれていて、そんなに嬉しいことはないです。ぶーやんがMCで言ってたように、友達だから仲間だから呼んでるわけではなくて、全国各地で活動している中で本当に痺れるライブをやっているから、愛知に持って帰りたいと思って呼んでます。みんな俺たちには無いものを持っていて、羨ましいとか悔しいとか刺激をくれる。そんな重たいバトンが最後に回ってきて、毎回凄いプレッシャーをかけてくれる」

と話したGENさん。地元に大きな居場所を作った喜び以上に、本気で戦い合うことで生まれる悔しさこそ、彼らにとっては栄養であり、それを幸せと呼ぶのだろう。

 

「でもやっぱり最後は04 Limited Sazabysが1番美味しい所を持って行って”やっぱりフォーリミが1番カッコ良かったな”って言わせなきゃいけないんですよ。考え過ぎるな、考え過ぎないで感じたままに戦わないとあんな猛者たちには勝てないんだよ!だから名古屋の皆さん力を貸して下さい!こんなに幸せな場所があれば、何度だって自分に返れます!」

競演者のライブを喰らい、様々な感情を植えつけられたからこそ、100パーセント以上の力を発揮できる場所。

渾身のパワーで「Squall」と「monolith」を演奏する姿は、”ヒーローになってからの物語”から1年が経った今年のヨンフェスで期待していた04 Limited Sazabys像そのものだった。

 

 

アンコールでは

「YON FESという宝物みたいな場所をこれからも守って行きたいと思います。名古屋の皆さんの未来に光が射しますように」

と「swim」を力強く演奏。更には初年度ぶりに出演したKEYTALKの義勝さんをゲストに呼び入れ、そのままGENさんのベースを譲り受け

「11年目の04 Limited Sazabys、あの頃の気持ちを思い出せ!」

と「Remember」に雪崩れ込んだ。

 

同世代コンビとの熱い競演で今年もカッコ良く締めくくりかと思いきや、

「義勝ちょっと間違えてたよね?だからもう1回、折角だからもうちょっと友達呼んでも良いですか!」

と、昨年末のMERRY ROCK PARADEでリュータさんの代役を務めたSUPER BEAVER柳沢さんとBLUE ENCOUNT江口さんが登場し再度「Remember」を投下。

 

ボーカルを務めるリュータさんに対して行き場を失ったヒロカズさんは、GENさんの後押しを受けて客席に飛び込んだ。

最後の最後にはステージ上に出演者が入り乱れる毎年恒例の光景が広がっており、節目の04度目のヨンフェスは華々しく幕を下ろした。

 

最後にGENさんが言っていた

「また来年、ここで生きて会いましょう」

という約束を果たしに、5年目のヨンフェスも必ず目撃する。