ライブレポート

04 Limited Sazabys “SOIL tour” ツアーファイナルをZepp Nagoyaで観た

Sugar(@Sugarrrrrrrock)です。

 

2月21日、04 Limtied SazabysのSOIL tourを目撃しにZepp Nagoyaへ行ってきました。

 


ツアー36本目、2018年の10月から全国のライブハウスを回ってきたツアーの最終公演。

旅の終着点となったバンドの地元名古屋で行われたライブを目撃して来ました。

 

 

以降、やや長めのライブレポートになります。じっくり読んで頂いても、適度に読み飛ばして頂いても構わないので少しでも目を通して頂けたら嬉しいです。

ライブレポート

名古屋の04 Limited Sazabysを名古屋のライブハウスで観る。旅の締めくくりにまた1つ念願が叶った夜だった。

 

2階の立ち見席まで関係者や恐らく地元の友達などで溢れかえったZepp Nagoyaで迎えたツアーファイナルは、バンドの現在地を刻みつけた「Milestone」からスタートした。

ツアーを回ってきた充実感は勿論あるはずだけど、今も叶えられないイメージがバンドを更に強くさせていると思う。フォーリミの音楽にはいつも悔しさが付き纏っている。

「きっと間違えられないな SOILツアー36本目名古屋ファイナルのステージ!」

「Milestone」で歌われている”いつか”の話が次の「monolith」に受け継がれていく。

5年前にロックバンド以外の退路を切る覚悟がこの曲を生み出してから、フォーリミの夢物語は醒めないまま転がり続けてきた。

 

「名古屋が生んだスーパースター04 Limited Sazabysです。ファイナルですよー!ただいま!!今日は一緒に伝説作りましょう!」

 

 

小道具のフライパンとしゃもじを使ったリュータさんのパフォーマンスから突入した「Kitchen」は、ポップな見た目をしているけど、中身は夜の孤独に攻め入る不安を爆音でぶち壊す曲。実際にそのような内容を歌っているBメロのバンドサウンドはとても攻撃的だ。

(因みにこーへーさんのお母さんは”ゴキブリが出る曲”だと思っていたらしい)

 

同じくGENさんの歌の語感がフロアを揺らす「nem…」では、瞼を閉じた夢の世界をフォーリミが辿って来た道のりに置き換えてみると、今までと違った解釈が広がっていった。

歩き疲れてくたくたになって辿り着いた夢の世界は孤独だけど、自分が自分でいられる自由を掴み取れる。そんなメッセージが聴こえてきた。きっと今のバンドの状態の良さがそう解釈させたのだと思う。

 

「11年目の今だから歌える、まだまだ扉を開け足りない気持ちを聴いて下さい」

と披露された「Password」は “喜びも苦しいし 悲しみも楽しい” という歌詞に30代に突入したバンドの今の心境が詰まっているように感じる。

色んな扉を開けてみたい気持ちはあるだろうけど、このアルバム、このツアーではライブハウスのヒーローという立場を全うした。

 

このブロックのラスト、Zeppクラスの大型ライブハウスでミラーボールを回す演出が映える「midnight cruising」はアルバム曲に負けじとワンマンツアーの全公演で披露された。

 

 

「次の曲は某先輩からリクエストがあって、あんまりやらないんですけど、というのも俺たちの曲じゃないからね!」

というGENさんの言葉に勘付いた観客が待ってましたとばかりに歓声を上げたのは、ASIAN KUNG-FU GENERATION未来の破片」のカバー。

原曲の性急感、エモさを”フォーリミ節”のパンクサウンドで生まれ変わらせた隠れ人気曲。

2年前のトリビュート盤の楽曲を未だにライブで披露していること自体滅多にないし、ステージもフロアも完全に04 Limited Sazabysの曲としてモノにしている。

 

そして、原曲同様にスローテンポで終わるアウトロからそのまま「Lost my way」のイントロに繋げるアレンジで再びドカンと歓声が上がった。自分もこの2曲の繋ぎが1番好きかもしれない。

「未来の破片」で”雨の道を這ってるトカゲみたいに” と、「Lost my way」で”Who am I ? Tell me” と歌われる言葉に、この後演奏するであろう曲が顔を覗かせる。

 

もう1曲 “sonor”から選ばれた「compact karma」も、「Kitchen」で歌っていた”極上の引力”とはこの曲のことを言っていたのかと思うような多幸感で満員のZepp Nagoyaをジャンプアップさせた。

色んな肥料がブレンドされて良い土が作られるように、昔の曲の要素がどことなく混ざり合って”SOIL”が生まれたのではないかと、ツアーを見届ける毎に勝手な憶測も広がっていった。

 

「今日リュータのお母さん来てるけど、いっつも迷惑かけてただろ!」

「別に今話すことじゃねーだろ!!」

という言い合いからなだれ込んだ「Galapagos」は、ツアーを経て音源以上に”アルバム一番の問題作”として育て上げられた。

 

「”未来の破片”をリクエストしてくれたのリュータのお母さんだからね。いや俺らの曲にしろよ!」

「リュータはホント愛情たっぷり育ててもらった感が半端ない。いつもホントにありがとうございます」

と、曲を中断してノリツッコミと感謝を伝えつつ、ポップにパンクにラップまで乗りこなした。

その後のMCの際に後ろを振り向いてみると、2階席の前列真ん中にはメンバーの親御さんらしき方々が座ってライブを鑑賞していた。ガイシホールでのワンマンライブでは伝わり切らなかった家族のアットホーム感が感じられたのもライブハウスの距離感だからこそ。

 

「メリーロックのときは3人で出演して、その節は大変ご迷惑おかけしました。だからこそ、名古屋のライブハウスで4人揃って音飛ばしてると無敵感がある」

と、4人揃った久々のホームグラウンドでのライブに確かな手応えを感じていたようだ。

その後、ポタリやAll Found Bright Lightsといった同郷のバンドの解散や脱退にも触れ、

「バンドでもなんでも、永遠じゃないからこそ輝いて見えると思うので、俺たちのキラキラしたものを持って帰って下さい!ツアーファイナル後半戦、一緒にライブ出来ますか?」

「escape」で後半戦の火蓋を切った。

 

扉を開けたいと歌った「Password」から一転、”鍵を壊して”と歌う脳内のダークサイドに正直な曲も、切れ味鋭いフォーリミの大きな武器として存在感を放っている。

サビの”バイバイしなくちゃ〜”という歌詞に曲前のMCが浮かび、鋭さの中にも切なさを感じた。

 

ツアー36本皆勤賞の「fiction」で更にエッジの効いた空間を作り上げると、ドロップチューンされたギターに持ち替えて「Alien」へ。

この曲中のスウィングするようなレーザーの演出はワンマンツアーの会場だからこそ出来る1つのハイライトだった。

さらに重厚感のある爆速ビートで畳み掛ける「Utopia」が、これまでのフォーリミらしい爽快感とはひと味違うヘヴィな狂騒空間を巻き起こした。

暗くて内省的な詞に、重心の低い曲でありながらも”果たすべきことがある””役目がある”と歌うのは、絶望のトンネルと、そこを抜けた先の微かな希望を1曲で表現出来るようになったから。

そしてそれは、困難を乗り越えたフォーリミだからこそ成し得る技なのだと思う。

 

 

「この間、7歳の子がお手紙とランクル(のミニカー)をくれました。俺たちがいることでその子の世界が広がったり、子どもの脳みそだからとんでもない刺激を与えられているんじゃないかと思ってとても嬉しかった」

「他にも自分たちの親世代の人から”娘がファンだったんですけど気づいたら私の方がファンになってました”って手紙を貰ったり。誰かの人生に影響を与えられているのが生き甲斐です」

こう話したGENさんのMCからは、しっかり可視化されたファンとの信頼関係が築かれていることが存分に伝わってきた。

このバンドが生き甲斐になっている人が全国各地に沢山いるんだということを自分の目でも確認出来たツアーだった。

 

「僕たちも皆さんへの気持ちをお手紙に認めてきました!」と演奏された「Letter」からは、いよいよ終わりが近づいてきたツアーの哀愁も漂ってくる。

続く「Shine」の間奏では、GENさんが周りの3人それぞれの方向を見て笑顔を見せた。

 

 

本編最後のMCタイムで、全国36箇所一緒にライブを作ってきたお礼を込めて音響、照明、楽器スタッフさんの名前を1人ずつ挙げていたのはツアーファイナルらしい光景だった。最後には「全員言うのめんどくせぇな」と言っていたのもGENさんらしかったけど(笑)

「音楽に携わる色んなプロの人たちと仕事させてもらえていて、パンクロックに就職して4~5年経ちますが、おかげさまで毎日幸せです。今は東京で戦ってますけど、我々はいつだって名古屋の04 Limited Sazabysです」

「東京の方がタワレコとか人の数が多いはずなのに、名古屋でも同じぐらいの枚数CDが売れてて、やっぱり名古屋の皆さんだけは裏切りたくないない。東京だけで人気者になって名古屋の人に”フォーリミもういいや”って言われたら全然やる意味がないので、名古屋のヒーローで居続けたいと思います!」

東京から観に来た自分が何だか邪魔に思ってしまうぐらいに地元愛を炸裂させ、

「ツアーファイナルだけど、ここから新しい種を探しに行きます!俺たちの旅はまだまだ続く!」

とバンドが名古屋から上京する際の感情が詰まった「Feel」を演奏した。

 

さらに、この日までライブ序盤に披露されていた「My HERO」をライブのクライマックスに投下。

名古屋を背負って東京の現場で戦っているという想いが、この曲をツアーファイナルのハイライトに持って来させたのだろう。

「今は自分のことをヒーローだと思えるようになりました。今なら過去のいつの自分にも会いに行ってあげられる。ラストは過去の自分へ向けて、光る未来からのメッセージ!!」

本編のラストナンバー「message」に込められた”僕には君を強くする責任があるんだ”というメッセージが、いつかのフォーリミのようにうだつの上がらない日々のネガティブを抱えた自分たちオーディエンスに突き刺さった。

 

アンコールでは、ツアー2本目の高崎で譲り受けて以降アンプの上に鎮座していたダルマに右目を入れ、

「無事ゴール出来て良かったです!このツアーで新しい仲間や楽器、武器が増えました。今後の04 Limited Sazabysもよろしくお願いします!」

と久々のロングツアーを完走した手応えを口にしていた。

 

ここで一旦祝福ムードを断ち切るかのように、ヒロカズさんのアルペジオをバックにGENさんが語り出す。

「平日にライブハウスに来たからには、きっと何かしらの非現実を求めてここに来たと思うし、俺たちもみんなが普段何やってるのか知らないから、ここにいる間は何者にならずただただ全身で感じて持って帰ってください!」

と最後の瞬間まで生の現場のコミュニケーションを求め、このツアー最後の「Squall」が降り注いだ。いよいよツアーも締め括り。

 

「ラスト、ワンマンでしかやらない曲でお別れです!一生一緒で居てください!」

「Give me」を届けた。

MCで話していたように、ライブハウスは確かに非現実的な空間かもしれないけど、与え合うのは生々しいリアリティだとこの曲は歌っていた。最後はステージの4人と満員のオーディエンスで大合唱。

 

「SOILツアー36本目、長い長いツアー最終日を一緒に作ってくれた皆さんに心からありがとうを込めて!」

ホントのラストにとどめの「Remember」をお見舞いして、SOILツアーは幕を閉じた。

 

ライブで生まれる感情の揺らぎを信じていく

こうやって音楽にまみれて過ごした日々の瞬間のことは、いつかは離れて消えてしまうのかもしれない。

けど、この先歳を重ねて過去を振り返ったとき、自分にとっての20代前半の記憶は絶対ロックバンドと一緒に残っていることは間違いない。今から5年ぐらい前までを振り返った時には、どの年にも必ずライブの熱狂の一瞬が刻み込まれている。

 

この先色んな音楽に手が伸びたり、音楽じゃないものに傾く時もあるかもしれないけど、ロックバンドには音の現場で躍動するヒーローでいて欲しい。

 

この日GENさんが

「ライブハウスの、あの曲のあのサビが来た瞬間の気持ちの高まりみたいなものは、どんなAIにも数値化出来ない。そんな感情の揺らぎを愛して信じていきたい」

と話していたのが特に印象に残っている。

 

数値化出来ないからこそ記憶に残すか言葉に残すし、まだ知らない感情の引き出しをこじ開けてくれる可能性がある限り、ロックバンドが歩むストーリーから醒めずにいたいと思う。

セットリスト

M1. Milestone

M2. monolith

M3. Brain sugar

M4. Chicken race

M5. Kitchen

M6. nem…

M7. Password

M8. midnight cruising

M9. 未来の破片

M10. Lost my way

M11. compact karma

M12. Galapagos

M13. escape

M14. fiction

M15. Alien

M16. Utopia

M17. Letter

M18. Shine

M19. memory lane

M20. Feel

M21. My HERO

M22. message

〜アンコール〜

EN1. Squall

EN2. Give me

EN3. Remember